ブログを始めてから今まで取り上げたレンズは、すべてシネレンズだが、今回はバルナックライカ用のレンズ、Rodenstock Heligon(ローデンストック ヘリゴン) 35mm F2.8を取り上げてみたいと思う。
ローデンストックは、一般にはメガネメーカーとして知られているが、ドイツの老舗レンズメーカで評価も高い。現在は大判カメラ用レンズを製造しているだけだが、以前はバルナックライカ用、コダックレチナなどのレンジファインダーと一眼レフのレチナフレックス用のレンズ、それにごく少量だが、M42マウントのレンズも製造していた。
ローデンストックの35mmフィルム用レンズはこのHeligonとEurygon(ユリゴン)の2種類のネーミングがされているがそれ以外の名前は聞いたことがない。バルナックライカ用のレンズとしてリリースされたのは、多分このHeligonの35mmだけだと思う。
今回取り上げるレンズは、ライカL(スクリュー)マウントものでLeica II,IIIに取り付けることができるが、残念ながらこれらのバルナックライカは所持していないので、マウントアダプター経由でPanasonicのGH1に取り付けて撮影してみた。
同じドイツのツァイスやシュナイダーは、シャープでコントラストが高いレンズだが、ローデンストックのレンズは、解像力が劣るというわけではないが、やわらかく、コントラストが控えめな描写をするようである。
絞り F2.8
新宿御苑でハクモクレンという白い花を撮影したのだが、ハイライト部から中間色までの階調が、実際に人の目で見るよりも豊富で、そのためか白いものでもグレイッシュな描写になる感じがする。
絞り F2.8
これくらいの中間色の再現性はとても良い。原色よりも紫やオレンジなどの中間色の再現性にすぐれているようだ。
絞り F2.8 クリスマスローズ
実際はもう少し濃いめの色調。
絞り F2.8 使用カメラすべて Panasinic Lumix DMC GH1
このレンズで撮影してみて感じたことは、とにかくハイライト部から中間色までの階調が格段に豊富であるということ。したがって、晴れのコントラストが強い光線状態よりも日陰の微妙な階調の移り変わりをとても良く描写するということ。
案外いけると思ったのが夜景の撮影。黒くつぶれてしまうところが案外よく残っている。明るい色調の描写だけではなく、早朝や夕方、それに夜景などコントラストが低い光線状態の景色を、とても階調豊かに描写するようだ。
多分、このことから肌色の再現にもすぐれていると思うのでポートレイトにも良いかもしれない。