アンジェニューやケルンのシネレンズについて多く記事を書いてきたが、今回はSom Beruthiot (サン・ベルティオ)のレンズを取り上げてみたいと思う。
フランスのレンズ専業メーカーでフランスらしいエスプリの効いたおしゃれなレンズである。サンのつくるPan Cinor 70と100というズームレンズが1958年にフランスのAcademy of Motion Picture Arts and Sciencesから技術功労賞を受賞している。
ほとんどがCやDマウントのシネレンズであるが、少量ながらバルナックライカ用のなどのレンジファインダーカメラにもレンズを供給していた。
1964年にOPL(Société Optique et Précision de Levallois, S.A フォカを製造していたカメラメーカー)と合併し、SOPEN(Société d'Optique, Précision Electronique et Mécanique)となった。
今回紹介するレンズは、Cマウントの25mm、F1.4の明るさをもつ標準レンズで艶のあるメッキが施されている。25mmのレンズは他に同じデザインの F0.95とF1.8のものがある。ただし、F0.95のものは、ブラックタイプのまったく違ったデザインのレンズも特別仕様として製造されていた。
上の写真のレンズのフィルター径は、38mmという特殊なサイズなのでこれに付けるフィルターやフードはおろかステップアップリングも見つけられなかった。かろうじてeBayで38→52mmのステップアップリングが販売されている。マクロスイーターの26mm F1.1も同じサイズなのでそれように買ったものがあるので代用できた。
前玉は奥まっているので、保護用フィルターやフードは取り立てて必要ないように思う。
サンのレンズは概ね、アンジェニューよりもさらにやわらかい写りをすると言われているが、実際はどうだろうか?
以下の写真は、近くの公園や花屋さんで撮影してたものだ。
Panasonic Lumix DMC GH1 Som Berthiot Sinor RX 25mm 絞り開放(F1.4)
逆光で白っぽいものを撮ると少しハレーションがおきてコントラストが低い。周囲はグルグル回っている。
Panasonic Lumix DMC GH1 Som Berthiot Sinor RX 25mm 絞り開放(F1.4)
順光だとハレーションはおきないようだ。
このレンズで撮影して、アンジェニューの25mmF0.95とよく似た描写だと思った。ボケ具合が中心部分から輪郭に向けてなだらかにボケていくところがとてもよく似ている。それにグルグルボケや周辺光量の落ち方も。ただ、アンジェニューより少しやわらかくて発色が控えめな感じだ。